7.13QUINTET FN7、激アツTEAM WOLFが涙の初優勝!

7.13QUINTET FN7、激戦のトーナメントを制したのは激アツ男・小見川道大率いるTEAM WOLFだった。

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7月13日(火)、東京・後楽園ホールにて『QUINTET FIGHT NIGHT 7 in TOKYO』が開催された。今大会のトーナメントは、チームの総体重360kgの規定。QUINTETの特色である団体戦抜き試合だ。

トーナメント開始前には、オープニングファイトで岡崎孝哉と萩原一貴が対戦。まずは下から仕掛ける岡崎。深追いしない萩原だったが足関節に捕まる場面も。さらに岡崎は腕十字。3度のトライも萩原はディフェンスしていく。その後もアグレッシブにサブミッションを狙い続けた岡崎はバックへ回ると4の字フック。萩原は懸命に防御したが、岡崎はそこから腕十字に移行。これも耐えた萩原だが、しつこくトライして三角から再度の十字。岡崎がタップを奪い一本勝ちを収めた。序盤から攻め続けた岡崎の完勝だ。

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岡崎の腕十字がズバリ決まった

トーナメント本戦はTEAM TRI-FORCEと TEAM WOLFの1回戦から。メンバーとオーダーは以下に決まった。

TEAM TRI-FORCE
先鋒:平田直樹
次鋒:澤田伸大
中堅:石毛大蔵
副将:中島康輔
大将:鈴木和宏

TEAM WOLF
先鋒:内柴正人
次鋒:伊藤盛一郎
中堅:森戸新士
副将:小見川道大
大将:グラント・ボグダノフ

先鋒戦から注目の内柴が登場。平田は引き込み、トップを取るとフロントチョーク、さらにバック、肩固め。しかし内柴はスタンドに戻す。その後も圧力をかけてくる内柴に対し、平田は下から勝負。内柴はマウントポジションを取る場面、足関節を狙う場面も。終盤は平田が攻勢に出たが、タイムアップでドローに。両者とも指導なし。

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桜庭エグゼクティブプロデューサーがこの日のベストバウトに選んだのが国士舘大学柔道部の先輩後輩対決となった平田vs内柴戦だった

次鋒戦は澤田vs伊藤。序盤、澤田が下から腕を絡め取る。じっくり攻めていった澤田だが、これはブレイクとなり両者に指導。相手と組む前にしゃがみ込んだ澤田には、さらに指導が。伊藤はその後もシッティングガードに付き合わない。残り3分を切ったところで、伊藤が真骨頂とも言える飛びついての十字。しかし澤田もこれをディフェンス。終盤、澤田の引き込んでの攻めに付き合わない伊藤が消極性により指導、時間切れとなる。

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伊藤の十字ががっちり入ったが澤田は意地でしのぐ

中堅戦、石毛vs森戸は森戸が三角絞めで一本。ここで初めてTEAM WOLFがリードする。森戸は副将の中島と対戦。足関節を狙う中島に対し、森戸はバックへ。リアネイキッドチョークを極めて2人抜き、大将の鈴木を引き出す。

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森戸劇場の始まりを告げた最初の一本は石毛に極めた三角絞め!
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森戸は中島にリアネイキッドチョークを極めて2人抜き!
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森戸の快進撃に激アツに盛り上がるTEAM WOLFのメンバー

森戸vs鈴木は鈴木が下から極めを狙う展開。しかし森戸は落ち着いてクリアしていく。終盤には鈴木が飛び込むようにヒザ十字。だがこれもディフェンスしきった森戸。タイムアップでドローとなり、TEAM WOLFが2人残しの大差で決勝戦へ。

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TEAM TRI-FORCEの大将・鈴木はなんとか盛り返したいところだったが無念のドロー。森戸の活躍でTEAM WOLFが決勝へ

もう一つの1回戦はTEAM BRAVE GYMvs TEAM THE BODY RIDE。レスリングで五輪出場、MMAでも活躍した宮田和幸率いるBRAVEに対し、BODY RIDEは桜庭和志プロデューサーがメンバーを選出、QUINTETの常連選手が集結した。メンバーとオーダーは以下。

TEAM BRAVE GYM
先鋒:寒河江寿泰
次鋒:今成正和
中堅:竿本樹生
副将:山田崇太郎
大将:宮田和幸

TEAM THE BODY RIDE
先鋒:八隅孝平
次鋒:世羅智茂
中堅:中村大介
副将:出花崇太郎
大将:小谷尚之

寒河江vs八隅の先鋒戦、序盤に八隅がタックルを見舞った際、バッティングとなりタイムストップ。再開すると、シッティングガードでの主導権争いから寒河江がイマナリロールで飛び込む。なかなか展開が生まれず、両者に指導。残り3分を切って八隅がタックルで鮮やかにテイクダウン。しかし寒河江も下から足関節を狙う。それでも決定的な場面はなく、時間切れ引き分け。

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お互いに手の内をわかり合っている両者。決定的な場面を作ることが難しかったようだ

続いては今成vs世羅。RIZIN参戦でも話題になった今成は足関節、世羅は腕十字と絶対的な必殺技がある。もちろん今成は下から足狙い。世羅はパスの圧力をかけながら肩固めへ。そこから世羅はマウント。その後も世羅は今成の動きを潰し、有利なポジションを取っていく。横四方からまたもマウントへ。ここでブレイクとなり、今成に指導。バックから再開し世羅がトップ。マウントから肩固めを狙う。しっかり形に入ったが、これも今成が脱出。今度は今成が足関節へ。見応えのある攻防が続いたが、この試合もドロー。ここでTEAM THE BODY RIDEが指導一つ分リードする。

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今成vs世羅戦はスリリングな攻防が多かったが、時間切れドローに終わる

中堅戦では竿本と中村、MMAで活躍する選手同士が対戦。竿本がタックルでテイクダウンするなどレスリングの地力で優位に試合を進める。竿本はパスすると腕十字へ。脱出した中村は十字からダースチョーク。これを抜けて竿本がまたも十字。しかしこれも中村が極めさせない。その後も中村がセンタク挟み、竿本がノースサウスチョークとアグレッシブに攻め合う。最後は中村がダブルリストロックの形に入ったところで時間切れ。ノンストップの展開に観客は大拍手。

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めまぐるしい攻防であっという間の8分間だった

副将戦、山田vs出花も強豪対決。お互い極めの強さが持ち味だ。山田がフロントチョークを狙う場面もあったが大きな展開はなく、両者に指導。出花は片足タックルから足を固めるが極まらず。この試合もドローで、チームの勝敗は大将戦に委ねられることに。

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TEAM THE BODY RIDEにとって山田をいかに止めるかが勝負の分かれ目とふんでいた一戦。出花がキッチリと役割を果たし引き分けに持ち込む
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山田を止められたとあって試合後の出花は満面の笑み

宮田と小谷の大将戦、四つ組みからテイクダウンしたのは宮田。しかしその後の展開がなく両者に指導。続く展開でもレスリング力を発揮した宮田がトップから攻める。小谷はクローズドガードから。しかしここでも両者に指導。そしてまた宮田がテイクダウン。宮田はパスを狙う。しかしここも引き分けで、決着はチームの指導数の比較に。5-4でTEAM THE BODY RIDEが大接戦を制した。

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共に指導2になる中、時間切れドローとなり決着は指導の差に持ち込まれた

決勝戦の前にはワンマッチが2試合。スペシャルアイアンマンマッチにはコロナ禍で仕事が激減、ジムに通い始めたというガリットチュウ福島がテリーマンのコスチュームで登場。当日発表の対戦相手Xは、同じ柔道経験者のSAKU Jr.に。アイアンマンマッチは5分間、何度サブミッションが極まっても続行となる。

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テリーマンのコスチュームでセコンドの相方・熊谷と登場した福島。相方の熊谷はこの後まさかの展開が起こるとはこの時は知る由もない
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当日発表の対戦相手XはSAKU Jrと桜庭和志のサクラバファミリアだった。小気味良く一本をとっていったSAKU Jr.
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途中から桜庭和志にチェンジ。これでもかというほどの波状攻撃を仕掛けた桜庭だった

序盤は柔道の投げの攻防。福島はタックルも狙う。ここでSAKU Jr.が三角からの腕十字で一本。さらにSAKU Jr.はラバーガードから三角絞め。これは福島が脱出する。今度はSAKU Jr.が一本背負いを潰してバックから十字。残り1分38秒となると、息子にかわり父・桜庭和志が登場。速攻でチョークを極めると足関節でも福島が即時タップ。福島も相方の熊谷にタッチするがやはり秒殺。タッチを繰り返しながらタップに次ぐタップで試合終了に。

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なんとか5分間を闘い抜いた福島。これからも練習は続けていくそうだ

スペシャルシングルマッチは石黒翔也vs高橋“SUBMISSION”雄己。修斗での鮮やかな一本勝ちで話題の高橋は序盤から足関節狙い。石黒はパスガードを仕掛けていく。ポジションを取りたい石黒と、一発で極めたい高橋という展開は、石黒がマウントポジションへ。それでも足を取りにいく高橋。両者譲らずタイムアップ、指導もお互い0のため旗判定となり、石黒の勝利となった。

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念願のQUINTET参戦となった石黒が旗判定で高橋を下した

トーナメント決勝戦はTEAM WOLFvs TEAM THE BODY RIDE。余力を残しているのはTEAM WOLFか。1回戦で2人残しだったTEAM WOLFはオーダーが変わり、ボグダノフが先鋒として八隅と対戦。ボグダノフは八隅のタックルをかわしてバックへ。八隅は体をずらして対処する。再びバックからチョークを狙うボグダノフ。八隅は計4度のバックテイクをディフェンス。するとボグダノフがマウントへ。最後は八隅がトップを取ったが引き分けに。

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これまで試合をしたことがなかったというボグダノフと八隅。見応えある内容だったがドローとなった

続いては小見川vs世羅。序盤、世羅が下から足を取る。クローズドガードからの展開も。ここで小見川に指導が入る。今度は世羅が上からの攻め。マウントポジションを取るが小見川が態勢を返す。残り1分、世羅が腕を固めるも両者に指導。世羅が足を取ったところでタイムアップに。TEAM THE BODY RIDEが指導数でリード。

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小見川が指導数による失格にならずに引き分け終わった点も決勝戦の大きなポイントだった

中堅戦は伊藤vs出花。首を取りにいった伊藤に対し、出花はスタンドからのキムラ。伊藤は脱出。体格では劣る伊藤だが小気味いい動きが目立つ。タックルにはフロントチョーク。残り1分半、出花が飛びつき十字も伊藤はクリア。今度は伊藤が三角絞めから腕狙い。白熱の攻防はドローに。

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体格差はありながらもアグレッシブな試合となったがドローに

副将戦は内柴vs小谷。内柴はスタンドからバックを取ると攻勢。足関節も狙っていく。小谷はスイープするがブレイク、両者に指導。内柴は積極的に投げを狙う。しかしこの試合もドローで大将戦へ。

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見応えのある内容の試合だったが、ドローに終わり大将同士の闘いにもつれ込む

チームの勝敗を決める大将戦。1回戦で大活躍した森戸に対するは中村。サイドポジションを取った森戸はニーオンザベリー、さらにマウント。そこから三角のフェイントを入れての腕十字で一本。劇的なフィニッシュで森戸がTEAM WOLFの優勝を決めた。

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森戸劇場の最後は腕十字職人の中村から腕十字で一本勝ち。文句なしの内容で優勝を決めた

試合後は号泣するリーダーの小見川を胴上げ。QUINTET常連の小見川が、ついに優勝を掴んだ。「1回戦からこれぞQUINTETという試合でした」とプロデューサーの桜庭和志。恒例のメダル贈呈で大会は幕を閉じた。

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試合後に「泣いてないです!」と言っていた小見川だが、優勝直後から大号泣。内柴と喜びを分かち合った
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この日の一本勝ちは全て森戸というほど、森戸デーとなった今大会。小見川に続き、森戸も胴上げされた

インタビュースペースでは「このチーム最高です。前回と同じメンバーで勝ちたかった。これがチーム戦です。みんな一匹狼なので、それぞれの道を誇りを持って歩んでいきたい。でもまた集結します」と小見川。前回の敗戦の悔しさを晴らす優勝だったと言う。地方在住の森戸にとってはQUINTET参戦は大きなチャンス。前回、大将として敗れただけに、リベンジという以上の意味がある活躍を見せた。

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閉会式では桜庭Pよりバズーガーで祝砲が!
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念願の初優勝を果たしたTEAM WOLF!
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この日の観客は607人満員札止めだった

なお、次回大会は秋を予定。トーナメントのカテゴリーについては、外国人選手の来日可否など状況を見ながら決めていくという。

(リポート/格闘技ライター・橋本宗洋)

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