7月25日(土)、『QUINTET.6』が開催された。須藤元気氏をプロデューサーに迎えての新体制での大会で、会場は“武道の聖地”とも呼ばれる京都の旧武徳殿。国の重要文化財に指定されている建造物であり、高専柔道大会発祥の地としても知られている由緒ある場所だ。


4チームによる団体戦抜き試合トーナメントに加え男女ワンマッチもラインナップされた今大会、まずはスペシャルシングルマッチで鈴木清香と平光真知が対戦。


鈴木が引き込むと下から三角絞めへ。さらに鈴木の腕も固めていく。脱出した平だが鈴木が攻勢、ストレートフットロックを仕掛ける。平はこれを処理して上から肩固め。鈴木はスペースを作ってディフェンス。平はマウントからバック、さらにマウントとアタック。鈴木はハーフに戻すが試合終了。旗判定で新鋭、平が勝利を収めた。
トーナメント1回戦では韓国のTEAM INSPIREとイゴール・タナベ率いるTEAM NINJAが激突。INSPIRE先鋒はチョ・ヨンスン、NINJAは鈴木瑛騎。試合は序盤から鈴木が足関節を狙って展開をリード。ヨンスンもアンクルを狙い、そこからトップへ。鈴木は下から足を取ってトップ。ここでヨンスンに指導が入り、サイドポジションから再開。ヨンスンはダースチョークで反撃も鈴木はクリア。鈴木は最後まで足関節を取りにいったがヨンスンもギロチン。両者アグレッシブなままタイムアップでドローに。

次峰戦はキム・ヒスンとイゴール・タナベ。ポイントゲッター同士の対戦は序盤から飛びついて腕を取ったイゴールがアームバーを極め46秒で一本。
INSPIRE中堅はキム・ジョンヨン。この試合は15kg以上の体重差があるため4分間、ジョンヨンとしては引き分けに持ち込むチャンスだった。引き込んでいったイゴールをさばきながら足を取ったジョンヨンだがイゴールはトップへ。バックを取られたジョンヨンだが脱出。最後まで攻撃を続けたイゴールだが時間切れで両者脱落。
INSPIREは副将チェ・ワンキが登場。NINJAは中堅のホベルチ・オダ。下からアタックするワンキに対し、ホベルチは足を狙う。二度目の足関節はニーバーだったがこれも脱出するワンキ。ここでワンキに指導が入りサイドポジションで再開。ホベルチはマウントを狙ったがワンキがトップへ。場外ブレイクでスタンドに戻るとお互い足関節狙い。これもブレイクとなりホベルチにも指導。ワンキはバックからの再開を選択。両足を差してチョークを狙うワンキは腕もターゲットに。ワンキ攻勢の中、ホベルチに指導。ここでもバックを選択したワンキだが時間切れ引き分け。チーム全体としては指導の数で並んだ形に。
INSPIREは大将のノ・ヨンアム。NINJAは副将の横山武司。ヨンアムは44歳、韓国柔術界の大御所的存在だ。対する横山はMMAで活躍しRIZINにも参戦経験があるが、目の負傷で組み技に専念している。10kg近い体重差がある対戦だが軽い横山が立ち技で主導権を奪うと指導を取りバックから再開。側転パスを見せる。ヨンアムはハイガードでプレッシャー。ここでは横山に指導が入る。

バックから再開するとヨンアムはバックトライアングルでポジションをキープ。横山はチョークをディフェンス、ブレイクに。残り3分半、ヨンアムは下から攻撃。横山も足を差し入れてカーフスライサー。さらにニーバーに捉えるがヨンアムはタップせず。さらに横山はヒールフック。ヨンアムに指導が入りマウントで再開。ヨンアムがトップを取るとバックへ。そこからアームバーを極めにいったヨンアムだが横山がしのぎきってドロー。INSPIREは大将脱落となり、NINJAが大将の大嶋聡承を温存したまま勝利して決勝進出を決めた。
もう一つの1回戦は柔術の有力選手が揃うTEAM Iwamoto Adventuresと優勝経験者のいるTEAM Bogdanove United。
先鋒はIwamtoが岩本健汰、Bngdanoveが須藤拓真。岩本は85.2kg、須藤は68.7kgと体重差があるため試合時間は4分。足関節技を得意とする須藤に対処していく岩本は自らストレートフットロック。足の取り合いの中、岩本がサイドポジション、上四方。しっかり固めて腕を狙う岩本はアームバー。しかしタイムアップとなり引き分け。
次峰戦は石黒翔也vs有松息吹。引き込もうとする石黒だが有松は付き合わず。ここで石黒に指導。サイドからの再開だが石黒は下から仕掛ける。今度は有松に指導が入り、石黒はバックを選択。あっという間にリアネイキッドチョークの体勢となりアゴを捉えてタップアウト。石黒が指導で得たチャンスから1人抜き。

続いては石黒とBogdanove Unitedの中堅・森戸新士の対戦。下から足に絡みつくのは石黒。森戸はパスを狙う。しかし森戸に指導がありバックから再開。立ち上がって前に落とす森戸。パスにトライするが石黒は立ち上がる。足を取る石黒はトーホールド。森戸が立ち上がりブレイク。下から攻め続ける石黒に森戸も足を取る。石黒がパスを許さず試合が続き今度はカーフスライサー、さらにヒールフック。残り2分、パスを狙う森戸だが石黒はまたも足狙い。森戸も足を取って試合終了。引き分けとなり石黒がチームのリードを保った。
ここでIwamoto Adventuresからは中堅の米倉大貴が登場。Bogdanove Unitedは副将グラント・ボグダノフ。20kgの体重差があるため米倉は試合時間4分を選択した。レッグハンターの異名を持つ米倉だがボグダノフが上から潰すように上四方。しかし動きが少なくボグダノフに指導。バックで再開もすぐにボグダノフが上。しかし米倉はパスを許さず。米倉に指導が入りバックからボグダノフが攻める。だが米倉はガードに戻す。しかし防戦に回り米倉に指導。それでもバックからディフェンスしきって試合終了、米倉が引き分けに持ち込んだ形だ。

次の試合は副将・竹浦正起と大将シャビエル・シウバとの対戦に。竹浦68.8kg、シャビエル91.5kgでこちらも体重差マッチ。試合時間4分で行われる。引き分けも許されないシャビエルは序盤から圧をかけるが竹浦はテイクダウンさせず。竹浦への指導はサイドから。潜る竹浦の首を取るシャビエル。スタンドに戻るとシャビエルが上からアタック。担いでのパスは不発。ここでも竹浦に指導でサイドから。逃げる竹浦のバックを取るシャビエル。4の字フックで体を伸ばされた竹浦にシャビエルがチョークで渾身の一本勝ち。


Iwamoto Adventuresは大将・二ノ宮寛斗が登場し大将戦に。大将戦は時間切れでも引き分けはなく旗判定となる。レスリングの強豪である二ノ宮は担いでパス狙い。がぶりで二ノ宮が有利になるとシャビエルに指導。二ノ宮はバックを選択。シャビエルは足を効かせるが二ノ宮はパス。がぶりからダースチョークを極めてシャビエルがタップ。二ノ宮の圧巻の勝利でTEAM Iwamoto Adventuresが決勝進出を決めた。


元柔道五輪金メダリストで総合格闘技でも活躍した吉田秀彦氏と子供たちによる柔道デモンストレーションの演武に続いては男子のスペシャルシングルマッチ。MMAで活躍する選手同士、平田直樹と新居すぐるの対戦。どちらも柔道出身で、組み手争いから足払いで投げを狙う。新居に指導が入りバックから攻める平田。しかし新居がスタンドへ。新居は払い腰を狙う場面も。足技を飛ばす平田。新居に2度目の指導がありバックから再開。しかし新居は立ち上がる。その後も前に出る平田が攻勢を強めるが新居が外掛けで倒しアームロックへ。だが平田はバックからチョーク狙い。平田はトップをキープしてパスガード。ニーオンから平田はアメリカーナ。これは外れるが平田はマウントへ。ブレイク後に新居が払い腰で投げると得意のセンタク挟みにトライ。ここでタイムアップとなり平田が指導0、新居が2で平田の勝利となった。


トーナメント決勝戦はTEAM NINJAvsTEAM Iwamoto Adventures。NINJAの先鋒は規定により1回戦で試合をしていない大嶋。対するは1回戦で一本勝ちしている石黒翔也。両者の体重差は18kgあるが、軽い石黒は試合時間8分をあえて選択。逃げずに一本を取りにいく姿勢を示した。体格で上回る大嶋に対し動き回る石黒。下から絡みつく石黒に大嶋も足関節狙い。石黒に指導が入りマウントで再開。脱出された大嶋はバックに回るが石黒は立ち上がる。大嶋はヒールを取りにいく。石黒の足関節も極まらず、ここで大嶋に指導。石黒はバックを選択するがすぐに立つ大嶋。最後まで足を狙う石黒に対し、大嶋はやや疲れが見える。石黒がニーバーの体勢に入ったところで時間切れ引き分け。
次鋒戦はNINJAが横山、TEAM Iwamoto Adventuresは米倉。横山はニータップで上を取るとパスを積極的に狙う。米倉はディフェンスしながら足を狙う。スタンドで再開すると横山が引き込み、得意の三角を狙う。米倉はサドルからバック。前転でスタンドに戻る横山。ダブルレッグでテイクダウンする横山だが米倉は腕を取る。ディフェンスの横山に指導。サイドでリスタートすると米倉がキムラから十字。米倉は上四方から腕を取りつつバック。ドローとなったが後半は米倉の攻めが光った。

中堅戦は鈴木と岩本。体重差15kg以上のため鈴木は試合時間4分を選択。開始直後からがぶる岩本はリバースフルネルソンで首を狙う。脱出した鈴木だが岩本が主導権。ギロチンでタップを奪い、ここでTEAM Iwamoto Adventuresがリード。


NINJAは副将のホベルチが登場。ホベルチのタックルを潰した岩本は担ぎパスを狙う。岩本は体重で上回るだけに圧力も強い。ホベルチに指導が入り岩本がバック。ガードを取るホベルチは足を取りスイープ。しかしホベルチが飛びつきガードの反則で二つ目の指導。岩本はバックからハーフ。パスするとバックへ。4の字でロックしてリアネイキッドチョークを極め、ホベルチがタップアウト。岩本が2人抜きで大将のイゴールを引っ張り出す。

優勝に王手をかけた岩本に対しイゴールはここから3人抜きが必要。体重の軽い岩本は試合時間4分を選択。引き分けでいい岩本をがぶったイゴールはスタンドで前進、岩本に指導。イゴールはバックから。脱出した岩本にイゴールは飛びついて腕狙い。岩本はタックルも体勢を入れ替えるイゴール。残り時間もなんとか守り切った岩本。TEAM Iwamoto Adventuresが2人残りで優勝を決めた。


体重差による試合時間、早めになった指導などQUINTETならではの妙味も印象に残った今大会。優勝メダルは桜庭和志ファウンダーが音頭を取り須藤プロデューサーから贈呈。MVPには1回戦の大将戦で一本勝ちした二ノ宮が選ばれた。こちらのトロフィーは桜庭ファウンダーから。


須藤プロデューサーは閉会式の挨拶で「旧武徳殿初のプロ格闘技イベント、楽しんでもらえたと思います。選手1人ひとりの素晴らしいファイト、伝わったら嬉しいです。武道って美しいなと感じでもらえたら。アマチュアも続いていきますので、これからもQUINTETの応援お願いします」。
桜庭ファウンダーは「選手のみなさん、暑い中ありがとうございます。観戦していただいた方もありがとうございます。武徳殿という国の重要文化財で大会ができたことを誇りに思います。どんどん世界に発信していきたいと思いますので、またよろしくお願いします」と大会を総括。こうしてQUINTETは新体制のスタートを切った。
(リポート/格闘技ライター・橋本宗洋)
