ーー今回の参戦、言い出しっぺは誰だったんですか?
越後 (杉内を指して)私たちですね。出ようよっていう話をして、それならリカちゃんも誘おうって。
湯浅 もともと出たかったっていうか、本戦(プロ大会)に出たいなって思ってたんですよ。でも女子5人(のチームトーナメント)は難しいかなって。そしたらアマチュアに声かけてもらって。「何それ出たい!」って。誘ってもらえなかったら、普通に会場で見てたと思います(笑)。
杉内 誘ってよかったね(笑)。
湯浅 この2人に誘ってもらえたのがよかったです。由紀さんとは私が高校生の時からの付き合いだし、ずいぶん一緒に練習しましたよね。
ーー杉内さんは過去にMMAの試合もされてますが、基本は柔術、グラップリング。違いとか、組み技ならではのよさをどう感じてますか。
杉内 打撃って怖いじゃないですか(笑)。そういう人にもできるのが組み技だし、打撃とは違う華麗さもありますよね。今は子供が小さいのでガッツリ練習できる時間は少ないんですけど、その分、寝技に対して考えるようになったんですよ。だから(実力が)上がってる部分もあると思います。
ーー考えることと強くなることの距離が近いというか。
杉内 それはあると思います。ただ体力はないです(笑)。
越後 先に極めちゃうしかない(笑)。
ーーこれまで開催されてきたQUINTETには、どんな印象がありますか。
湯浅 AbemaTVで全部見てますけど、特に2回目、ディファ有明でやった大会が印象に残ってます。(杉江)アマゾンさんたちが出て。プロのドリームチームと、私たちが知ってる柔術の人たちが闘うっていうのが面白くて。あと基本的に、私たちは極めるのが好きなので(笑)。QUINTETはそれができるルールじゃないですか。柔術だとどうしてもポイント重視なので。
杉内 ミスができないっていうところがあるから。
湯浅 極めにいっても「スイープが待ってるな」とか。お互いが極める気持ちでやらないと噛み合わないんですよね。
ーーリスクだけ大きくなってしまうと。
湯浅 QUINTETは極めにいくようなルールになってるので、お互い逃げずに極めにいけると思いますね。由紀さんが得意なルールです(笑)。
杉内 完全に得意だね(笑)。ヒールはなしだけど外掛けがOKだから。サドル(ロック)も。
湯浅 あ、それ技の名前あるんですね。全然知らないんですよ技の名前(笑)。
ーーQUINTETだからやってみたいこととか、展開の予想、対策はしてますか?
湯浅 先鋒でどんどん抜きにいくっていうのが私はいいですね。後ろの選手は役割をいろいろ考えなきゃいけないので。先鋒は気が楽っていうか、何も考えずに飛ばしていけるかなって。
越後 今それ言っちゃうと「湯浅が先鋒なら」って相手チームが大きい選手を当てて潰しに来るかも。
杉内 塩漬け作戦で。
湯浅 じゃあ次鋒くらい? でも「私は先鋒で」って言っておいて相手のエースを先鋒に出させちゃうっていうのもできるんですよね。
ーーそういう駆け引きもありますね。
杉内 で、逆に私たちの先鋒が塩漬けにすると。
湯浅 そういう作戦会議もしなきゃいけないですね。でも見ている人に面白い試合にはなると思います。
ーー見せたいのはやっぱり“極め”ですか。
越後 せっかくなのでムーブ、柔術らしい動きをたくさん見せていきたいですね。
湯浅 私は基本、出る試合がムンジアル(柔術世界選手権)で、戦法としては巻きスパイダー(ガード)なんですよ。だからよく「巻きだけだろ」とか「それだけ対策すれば」って言われて。
ーーそれでも勝ってきてるわけですよね。
湯浅 むしろ勝ちに徹するからその戦法になってるんですよ。少しのミスもしない鉄壁のスタイルで。でもパスもしたいし極めもしたいし、そういう練習もしてるので。
越後 QUINTETはポイント気にせずできますよね。
湯浅 私も普段の練習はポイントを意識しないでやってるので。だからQUINTETでは柔術とは違う自分が出せると思います。
ーー一味違うというか、過去最強の湯浅麗歌子が見られるかもしれないと。
湯浅 もうめっちゃ動きますよ。由紀さんもそうじゃないですか。でも由紀さんは動くっていうか、極めにいったら逃さないですよね。
越後 そう、形に入ったら絶対逃げれない(笑)。
湯浅 一番向いてますよね、QUINTET。私が知ってる中で一番極めが強い。
杉内 ほんと? それ嬉しいなぁ。もう、すぐ極めにいくから(笑)。
ーーこれをきっかけに女子のQUINTETも楽しみになってくるんですが、男子のPolarisや10th Planetのように、女子でも世界的なグラップラーがいたりするんですか?
湯浅 すぐには名前が出てこないですけど、強い人はいると思います。
杉内 選手の奥さんで、試合には出ないんだけど凄く強いっていう人もいるみたいですね。
ーーロシア、中央アジアの柔道、サンボ系の選手でメチャクチャ強い選手がいたりするかもしれないですよね。
湯浅 いるんですよ、本当に。柔道とかレスリングとは違う投げ技を使ってきたり、パワーがメチャクチャ強い。国で言うとカザフスタンとかトルクメニスタン、「〇〇スタン」っていう。あの辺の地域。
ーーそういう選手をQUINTETで発掘してほしいですね。
湯浅 女子が難しいのは、柔術だと青帯はいっぱいいるんですよ。でもキャリアを積んで茶帯、黒帯で本当に強くなる時期が、年齢的には結婚と重なったりして。それで一線を退く選手もいるんですよね。
ーーそこは難しいですね。ただUFCじゃないですけど「稼げる」「輝ける舞台がある」となったら状況も変わりますかね。目標ができるというか選択肢が増えるというか。
湯浅 それはあると思います。いずれプロでも女子のトーナメントができればと思ってますね。日本代表、アメリカ代表、ブラジル代表、イギリス代表みたいな。MMAファイターのチームが出たりとか。そういうのをやってもらいたいので、今回がきっかけになればいいなって思います。「お、湯浅麗歌子、QUINTETに興味あるんだ」みたいな感じで(笑)。
杉内 私たちは相当盛り上がってるんで、あとは周りが盛り上がってくれたら(笑)。